開業前の経費はどうする?

実際に事業を始める前でも、取引先へのあいさつ回り・市場調査費・ホームページの作成・家賃・人件費など諸費用がかかっている場合がありますね。これらの費用も経費となりますので、領収書や請求書などは捨てないようにしましょう。

 

開業の何か月前までなら経費となりますか?というご質問を多く頂きますが、特に決まっていないんです。数年前だからダメという規定はありません。

ただし常識的には数年前の費用は開業との関連性は薄いと思われますので、客観的に説明ができるよう証拠書類を残しておきましょう。

 

というわけで、支出の年度が違っても開業準備の費用は経費になります。

例えば平成29年4月に開業したとして、その準備費用として平成28年12月に支払ったとしても平成29年分の経費として認められます。

 

経費にしたくない場合もある 

 

ところで、開業1年目の確定申告で開業準備の費用を経費にしたいですか?

 

そもそも赤字になる人は開業準備の費用を経費にする必要がありません。白色申告の場合は赤字を来年に繰り越せないので、赤字になると損をします。

 

青色申告の場合は赤字を来年に繰り越せますが、その場合は経費に関係なく引いてくれる所得控除を使わない事になるので、決して得ではありません。

 

こんな時は開業準備の費用(開業費)を、来年以降の経費に持ち越す事ができます。しかも好きな年に好きな金額を経費にすることができるので、とても節税になるテクニックです。

 

開業費の申告の仕方

 

開業費の経費を持ち越す方法ですが、青色申告をする人で貸借対照表を添付する人は「開業費」の未償却残高(まだ経費にしていない金額の合計)を書いておきます。また損益計算書には「開業費償却」として経費にする金額を書きます。

 

例)150万円の「開業費」のうち20万円を経費にする場合

白色申告の人や、青色申告で貸借対照表を添付しない人は、減価償却費の計算欄に開業費の未償却残高を記載しておくと来年以降の申告時でも開業費の存在を忘れる事はないでしょう。