個人事業主の税金を計算する基になる所得は、「売上ー経費ー青色申告の特別控除ー所得控除」になります。この所得控除は14種類もありますので、よく理解しておくと税金を減らすことができるかもしれません。
所得控除の種類
【雑損控除】
- 控除される内容
災害、盗難、横領により住宅家財等(住宅、家具、衣類、現金など)に損害を受けた場合に控除されます。
- 控除される額
(災害・盗難等による損失額ー保険金等で補てんされた金額)-(総所得金額×10%)
災害関連支出についても一定の方法により控除されます。
【医療費控除】
- 控除される内容
病気やケガなどの治療費や出産費用、薬代、病院へ向かうために払った公共交通機関の交通費などが控除の対象になります。
- 控除される額
(支払った医療費の額ー保険金等で補てんされる金額)-(10万円or所得金額の5%のいずれか少ない金額)
【社会保険料控除】
- 控除される内容
健康保険(介護保険含む)、厚生年金保険料、雇用保険、国民年金、国民年金基金等の社会保険料を支払った場合に控除されます。
- 控除される額
その年に支払った金額の全部が控除されます。
年の途中で退職した人は、給料から天引きされた社会保険料のほか、任意継続の健康保険や国民健康保険、国民年金を支払った分も控除されますので忘れないようにしましょう。
国民年金は2年分まとめて払う事ができますが、それも全額控除できますので節税したい人は前納も検討しましょう。
【小規模企業共済等掛金控除】
- 控除される内容
小規模企業共済の掛け金や個人型確定拠出年金の掛金が控除の対象になります。
- 控除される額
その年に支払った金額の全部が控除されます。
掛金の全額が所得控除になるというのはありがたいです。個人事業主には退職金がありませんので自分で積み立てるしかありませんが、小規模企業共済を使うと税金を減らしながら積み立てる事ができます。
個人年金で積み立てる事もできますが、今は利回りも低いですし所得控除が最大でも4万円しかない事を考えると小規模企業共済が勝ると思います。
【生命保険料控除】
- 控除される内容
生命保険、介護や医療保障保険、個人年金保険を支払った場合に控除されます。
- 控除される金額
生命保険、介護医療、個人年金のそれぞれについて最高4万円ずつ控除されます。
【地震保険料控除】
- 控除される内容
自己や家族の居住用家屋の地震保険料を支払った場合に控除されます。
- 控除される金額
支払った金額(最高5万円)が控除されます。
事務所や店舗、賃貸している物件の保険料は対象にならず、事業や不動産所得の必要経費ですので注意してください。
【寄付金控除】
- 控除される内容
国や地方公共団体、一定の公益法人、認定NPO法人等に対して寄付をした場合に対象になります。
- 控除される金額
寄付金の額ー2,000円
ふるさと納税は地方公共団体への寄付になりますので、この制度を適用します。所得税と住民税に分かれて以下の通り税金が安くなります。
(1)所得税…(寄付金の額ー2,000円)×所得税率(0~45%)
(2)住民税(基本分)…(寄付金の額ー2,000円)×10%
(3)住民税(特例分)…(寄付金の額ー2,000円)×(90%-所得税率(0~45%))
(1)(2)で控除できなかった金額を(3)で全額控除します(所得割額の2割が限度)
→こちらのサイトで税額控除のシミュレーションができます
【障害者控除】
- 控除される内容
自身が障害者である場合や、扶養親族に障害者がいる場合に控除されます。
- 控除される金額
障害者1名につき270,000円
特別障害者1名につき400,000円
配偶者や扶養親族が同居特別障害者1名につき750,000円
【寡婦(夫)控除】
- 控除される内容
配偶者と離婚、又は死別し再婚していない場合で一定の場合に控除されます。
- 控除される金額
一般の寡婦(寡夫)270,000円
特定の寡婦350,000円
【勤労学生控除】
- 控除される内容
納税者本人が学生の場合に控除されます。
- 控除される金額
270,000円
【配偶者控除】
- 控除される内容
所得が38万円以下の配偶者がいる場合に適用されます(給与収入で103万円以下)
- 控除される金額
380,000円(年齢が70歳以上の場合は480,000円)
【配偶者特別控除】
- 控除される内容
所得が38万円を超え76万円未満の配偶者がいる場合に適用されます(給与収入で103万円超141万円未満)
- 控除される金額
所得に応じて380,000円~30,000円
【扶養控除】
- 控除される内容
所得が38万円以下の16歳以上の扶養親族がいる場合に適用されます。
- 控除される金額
16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満…380,000円
19歳以上23歳未満…630,000円
70歳以上...480,000円(同居の親、祖父母等は580,000円)
配偶者控除から扶養控除までについて、専従者給与を支給した場合は控除できませんので注意してください。
【基礎控除】
- 控除される内容
納税者本人(誰でも)に適用されます。
- 控除される金額
380,000円