開業したら経理事務も仕事のうち。お金の管理や帳簿作成など開業時に知っておきたい経理の基本を解説します。
インデックス
・事業と生活を区別する
・経費の按分の仕方
・請求書と領収書
・帳簿の種類
・開業前の経費はどうする
・開業費に注意
経理と言えば帳簿をつけるというイメージかもしれませんが、その前にする事は口座を分けることです。
さすがに財布まで分ける必要はないですが、仕事用の通帳とプライベートの通帳は分けておいた方が帳簿をつけるのも早くなります。
売上の入金や経費の支払いは、事業用の口座を作って行うと、帳簿付けが簡単にできますし事業の状態も正しく把握できるようになります。
あくまでも個人事業なので口座の名義は「個人名」になりますが「屋号+個人名」で口座を作る事も可能です。なお、法人口座の場合は「会社名+代表者名」となります。
屋号付きの口座を作る場合は、屋号がわかるウェブサイトを印刷したものや名刺、個人事業の開業届のコピーを銀行に提出します。(銀行によって異なります)
事業用の口座を作った後は、取引先からの入金口座をその口座に指定し、経費の支払いもその口座から引き落としになるよう順次手続きをしていきます。
自宅兼事務所の家賃や自動車関連費など公私で使っているものも、可能な限り事業用口座から支払いに変更した方が経費の計上漏れを防ぐ点でお勧めです。
クレジットカードもできるだけ生活用と事業用のカードを分けて使う事がお勧めです。このカードは経費にしか使っていないという状態にした方が帳簿作成が楽になります。
個人事業主の場合、仕事とプライベートの両方で使うという事がよくありますね。
例えば自宅を事務所としても使っている場合や、自家用車を仕事用として使っている場合などです。
事務所として使っている部分、営業用として使っている部分の必要経費は認められますので、その按分方法について解説します。
自宅を事務所としても使っている場合は、その自宅の総床面積のうち事務所として使っている部分の床面積の割合で経費にすることができます。
総床面積が100㎡で事務所として使っている床面積が20㎡の場合は20%です。家賃が10万円とすると10万円×20%=2万円を経費とする事ができます。
事務所として使っているというのは事務所として「専用として」使っているという意味ですから、例えば寝食をする寝室やダイニングにパソコンを置いて事務作業もするからといって、その床面積を含める事はできません。
事務所にするなら、ちゃんと1部屋使うなり区切ってやってくださいという事ですね。
自宅の光熱費も同じ割合で処理するのが一般的ですが、別の合理的な基準があればその割合でも認められます。
例えば、1日24時間のうち業務している時間の割合であったり、電気であれば家のコンセントの総数のうち、事務所で使っているコンセントの数の割合を使うこともできます。
自宅兼事務所が持ち家の場合でも、面積按分の考え方は同じです。
経費になる項目として大きく違うのが、家賃ではなく減価償却費と固定資産税に変わるという点です。
減価償却費は、建物の取得費を法定耐用年数で割った1年あたりの金額です。それを面積按分した金額が経費になります。(住宅ローンの支払額ではありません)
固定資産税も同じ割合で経費になります。
住宅ローン控除を受けている人は、事務所として経費にした部分は住宅ローン控除が受けられなくなる点に注意が必要です。
事務所部分を30%とした場合は、住宅ローン控除は70%しか受けられなくなります。
さらに事務所部分を50%以上とした場合は住宅ローン控除は全く受けられなくなり、むしろ損です。
逆に、事務所部分を10%以下とした場合は住宅ローン控除は100%受けられますので、節税策の1つとして考えられます。
持ち家で住宅ローン控除を受けている方は、よく検討が必要です。
自動車を営業用にも使っている場合の按分方法は、走行距離や使用日数で按分するのが普通です。
走行距離2万キロのうち、1.8万キロを仕事で走ったのであれば90%です。単純に週7日のうち5日を仕事で使っているのなら7分の5ですね。
車両の減価償却費や自動車税、修理代、車検代、ガソリン代、自動車保険について上記で決めた割合で経費計上することができます。
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